○高千穂町議会基本条例

平成21年3月10日

条例第1号

目次

前文

第1章 目的(第1条)

第2章 議会、委員会並びに議員の活動原則(第2条~第4条)

第3章 町民と議会の関係(第5条~第7条)

第4章 議会と行政の関係(第8条~第11条)

第5章 自由討議の拡大(第12条)

第6章 議会及び議会事務局の体制整備(第13条~第16条)

第7章 議員の政治倫理、身分及び待遇(第17条~第19条)

第8章 最高規範性と見直し手続(第20条~第22条)

附則

(前文)

高千穂町民(以下「町民」という。)から選挙で選ばれた議員により構成される高千穂町議会(以下「議会」という。)は、同じく町民から選挙で選ばれた高千穂町長(以下「町長」という。)とともに、高千穂町の代表機関を構成する。この2つの代表機関は、ともに町民の信託を受けて活動し、議会は多人数による合議制の機関として、また町長は独任制の機関として、それぞれの異なる特性をいかして、町民の意思を町政に的確に反映させるために競い合い、協力し合いながら、町政の最良の意思決定を導く共通の使命が課せられている。

議会は、町民の意志を代弁する合議制機関であることから、自らの創意と工夫によって町民との協調のもと、高千穂町の町づくりを推進していく必要がある。議会は公正性・透明性を確保し、議員は、自己研さんと資質の向上並びにこの条例に定める議会運営のルールを遵守し、「町民に開かれた議会」「町民参加を推進する議会」を目指して活動することにより、町民に信頼され存在感のある豊かな議会を築きたい。

第1章 目的

(目的)

第1条 この条例は、議会運営及び議員に係る基本事項を定め、議会及び議員の活動により美しい自然と神話を大切にし、産業、文化の振興に努め「かがやく町づくり」「住みよい町づくり」を継承するとともに、常に本町の発展と将来性を願い、さらに活力ある誇れる郷土づくりを実現することを目的とする。

第2章 議会、委員会並びに議員の活動原則

(議会の活動原則)

第2条 議会は、次に掲げる事項を原則として活動を行わなければならない。

(1) 公正性、透明性及び信頼性を重んじ、町民に開かれた議会を目指すこと。

(2) 町民の多様な意見を的確に把握し、町政に反映させるための運営に努めること。

(3) 町民にとって、分かりやすい言葉を用いた説明に努めること。

(4) 議会内での申し合わせ事項は、必要に応じて見直しを行うこと。

(5) 町民の傍聴しやすい議会運営を行うこと。

(委員会の活動原則)

第3条 高千穂町議会委員会条例(昭和41年条例第19号)の規定による常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会(以下「委員会」という。)の審査に当たっては、資料等を積極的に公開しながら町民に対し、分かりやすい議論を行うよう努めなければならない。

2 委員長は委員会の秩序保持に務め、委員長報告を自ら作成するとともに、質疑に対する答弁も責任を持って行わなければならない。

3 委員会は、町民からの要請に応じ、審査の経過及び所管する行政課題等を説明するため、説明会又は懇談会等を積極的に行うよう努めるものとする。

(議員の活動原則)

第4条 議員は、次に掲げる事項を原則として活動を行わなければならない。

(1) 議員は、議会が議論の場であること及び合議制機関であることを十分認識し、議員間の自由な討議を重んじること。

(2) 議員は、町政の課題全般について、町民の意見を的確に把握するとともに、自己の能力を高める日々の研さんによって、町民の代表としてふさわしい活動をすること。

(3) 議員は、一部団体及び地域の代表にとらわれず、町民全体の福祉の向上を目指して活動すること。

第3章 町民と議会の関係

(町民参加及び町民との連携)

第5条 議会は、町民に対し積極的にその有する情報を発信し、説明責任を十分に果たさなければならない。

2 議会は、本会議のほか、全ての会議を原則として公開とする。

3 議会は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第100条の2の規定による専門的知見の活用を行うとともに、本会議、各委員会にあっては法第109条の規定による参考人制度及び公聴会制度を十分に活用して、町民の専門的又は政策的識見等を議会の討議に反映させるよう努めるものとする。

4 議会は、町民との意見交換の場を多様に設け、議員の政策立案能力を強化するとともに政策提案の拡大を図るものとする。

5 議会は、陳情書又はこれに類するもの(要望書、嘆願書、要請書等)は、議長が議会運営委員会に諮って審査の必要があると認めるものは、請願書の例により処理し、審査の必要がないと認めるものについては、議員配布のみとし審査は行わないものとする。

(議会報告会)

第6条 議会は、前条の規定に関する事項を実効性のある方策として議員の出席のもとに町民に対する議会報告会を開催して、議会の説明責任を果たすとともに、これらの事項に関して町民の意見を聴取して議会運営の改善を図るものとする。

2 議会報告会に関することは、別に定める。

(議会広報の発行)

第7条 議会は、町政に係る重要な情報を常に町民に対して周知するため、議会独自の視点から、情報技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用することにより、多くの町民が議会と町政に関心を持つよう努めるものとする。

2 議会は、情報発信の一つとして、高千穂町議会報発行に関する条例(平成13年条例第23号)の規定により、高千穂町議会報(以下「議会報」という。)の発行を行い、議会広報活動に積極的に努めるものとする。

3 議会報の編集に当たっては、委員自ら編集を行い、「町民に読んでいただく、分かりやすい記事」を基本に編集するものとする。

第4章 議会と行政の関係

(議会と町長及び執行機関の関係)

第8条 議会審議における議員と町長及び執行機関の長(以下「町長等」という。)との関係は、次に掲げるところにより、緊張関係の保持に努めなければならない。

(1) 本会議における質問・質疑の応答は、広く町政上の論点及び争点を明確にするため、一問一答の方式で行う。

(2) 議長から本会議への出席を要請された町長等は、議長の許可を得て、議員の質問に対して反問することができる。

(3) 通告した一般質問の答弁書は、その写しの交付を町長等に求めることができる。

(4) 本議会における発言は、なるべく美辞麗句あるいは国政レベルの注釈は控え、町民の目線で要点のみを分かりやすく述べ、中傷的、歪曲的発言は厳に慎むこととする。

(町長による政策等の形成過程の説明)

第9条 議会は、町長が提案する重要な政策について、議会審議における論点情報を形成し、その政策水準を高めるため、町長に対し、次に掲げる事項について明らかにするよう求めるものとする。

(1) 政策の発生源

(2) 提案に至るまでの経緯

(3) 他の自治体の類似する政策との比較検討

(4) 総合計画との整合性

(5) 関係ある法令及び条例等

(6) 財源措置

(7) 将来にわたるコスト計算

(予算・決算における政策説明資料の作成)

第10条 議会は、町長に対して予算案及び決算を議会に提出し、議会の審議に付すに当たっては、前条の規定に準じて、分かりやすい施策別又は事業別の説明資料を町長に求めるものとする。

(総合計画等の協議)

第11条 議会は、町政における重要な計画等の決定に参画し、町長の政策執行上の必要性を比較考量のうえ、町民に直結する次の事項を協議事項として町長に求めるものとする。

(1) 高千穂町総合長期計画

(2) 国からの事務委譲又は町独自の判断で策定するマスタープラン等の中長期の計画

第5章 自由討議の拡大

(討議による合意形成)

第12条 議会は、議論の場であることを十分に認識し、議長は、町長等に対する会議等への出席要請は必要に応じて行い、議員相互間の討議を中心に運営しなければならない。

2 議会は、本会議及び委員会において、議員、委員会及び町長提出議案並びに町民提案等に関して審議を行う場合、議会全員協議会により議員相互間の自由討議を積極的に行うよう努めるものとする。

3 議員及び委員会は、前2項による議員相互間の自由討議を拡大するため、政策、条例、意見等の議案の提出を積極的に行うよう努めるものとする。

第6章 議会及び議会事務局の体制整備

(議員研修の充実強化)

第13条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上等を図るため、議員研修の充実強化を図る。

2 議会は、議員研修の充実強化のため、広く各分野の専門家、町民各層等との議員研究会を積極的に開催するものとする。

(委員会の適切な設置運営)

第14条 議会は、社会、経済情勢等により新たに生じる行政課題に適切かつ迅速に対応するため、委員会を適切に設置し、積極的に運営することとする。

(議会事務局の体制整備)

第15条 議会は、議会及び議員の政策形成及び立案機能を高めるため、議会事務局の調査・法務機能の充実強化を図るよう努める。

(議会図書の利用)

第16条 議会は、議会図書の利用については議員のみならず、町民も利用できるものとする。

第7章 議員の政治倫理、身分及び待遇

(議員の政治倫理)

第17条 議員は、町民全体の代表者としての倫理性を常に自覚し、自己の地位に基づく影響力を不正に行使することによって、町民の疑惑を招くことのないよう行動しなければならない。

(情報の取り扱い)

第17条の2 議員は、情報の取り扱いについて次に掲げる基準を遵守しなければならない。

(1) 公職にあるものとしての発言又は情報発信(議会報告会、チラシ、ウェブサイト等)において、他人の名誉を毀損し、人格を損なう一切の行為をしないこと。また、第三者をして同様の行為をさせないこと。

(2) 差別的な取り扱い又は言動、虐待、性的な言動、名誉又は社会的信用を低下させる目的でその者を誹謗中傷する言動その他人権侵害のおそれのある行為をしないこと。

(議員定数)

第18条 議員定数については、高千穂町議会議員の定数を定める条例(平成14年条例第23号)で定める。

2 議員定数の改正に当たっては、行財政改革の視点だけでなく、町政の現状と課題、将来の予測と展望を十分に考慮するとともに、議員活動の評価等に関して町民の意見を聴取するため、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用するものとする。

3 議員定数の基準は、人口、面積、財政力及び町の事業課題並びに類似町村の議員定数と比較検討し、決定するものとする。

4 議員定数の条例改正案は、町民の直接請求による場合を除き、明確な改正理由の説明を付して必ず委員会又は議員から提案するものとする。

(議員報酬)

第19条 議員報酬については、高千穂町議会の議員の報酬及び費用弁償等に関する条例(昭和31年条例第8号)で定める。

2 議員報酬の改正に当たっては、行財政改革の視点だけではなく、町政の現状と課題、将来の予測と展望を十分に考慮するとともに、議員活動の評価等に関して町民の意見を聴取するため、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用するものとする。

3 議員報酬の条例改正案は、町民の直接請求による場合及び町長が提出する場合を除き、改正理由の説明を付して必ず委員会又は議員が提案するものとする。

第8章 最高規範性と見直し手続

(最高規範性)

第20条 この条例は、議会運営における最高規範であって、議会は、この条例の趣旨に反する議会の条例、規則等を制定してはならない。

2 議会は、議員にこの条例の理念を浸透させるため、一般選挙を経た任期開始後速やかに、この条例の研修を行わなければならない。

(議会及び議員の責務)

第21条 議会及び議員は、この条例に定める理念及び原則並びにこれらに基づいて制定される条例、規則、規程等を遵守して議会を運営し、町民を代表する合議制の機関として、町民に対する責任を果たさなければならない。

2 議会及び議員は、町の発展及び議会活性化のため自ら議会改革を推進していくものとする。

(見直し手続)

第22条 議会は、おおむね4年に1度、この条例の目的が達成されているかどうかを議会運営委員会において検討するものとする。

2 議会は、前項による検討の結果に基づいて、この条例の改正を含む適切な措置を講じるものとする。

3 議会は、この条例を改正する場合には、全議員の賛同する改正案であっても、本会議において、改正の理由及び背景を詳しく説明しなければならない。

この条例は、平成21年4月1日から施行する。

(平成25年条例第2号)

この条例は、公布の日から施行し、改正後の高千穂町議会基本条例の規定は、平成25年3月1日から適用する。

(平成25年条例第27号)

この条例は、公布の日から施行する。

(令和4年条例第14号)

この条例は、公布の日から施行する。

高千穂町議会基本条例

平成21年3月10日 条例第1号

(令和4年6月17日施行)

体系情報
第2編
沿革情報
平成21年3月10日 条例第1号
平成25年3月5日 条例第2号
平成25年6月26日 条例第27号
令和4年6月17日 条例第14号